霜月 朔(創作)

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夜空を駆ける



冷たい月の光が、
そっと、頬を撫でる夜。
お前の影を追いかけて、
心は暗闇を駆ける。

指先に触れることはない、
その輝く瞳。白い肌。
名前を呼んでも、
星のざわめきに消えてゆく。

夜風に揺れる後ろ髪が、
刃のように胸を裂く。
決して振り向きはしない、
お前の後ろ姿を、
ただ、見つめ続けた。

伝えられない想いは、
闇に溶けて、
ひとひらの霧となり、
お前の足元に散っていく。

もしも、翼があれば、
絶望の夜空を裂いて、
飛べただろうか?
お前の隣で、同じ星を、
見上げられただろうか。

だが、空は遠く。
お前は遠く。
希望も遠い。
この手は、
今夜も虚空を掴むだけだ。

夜空を駆ける。
名もなき影として。
俺はただ、
お前を追い続ける。
…永遠に。

2/22/2025, 4:41:04 AM