柊文月

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「そん時はあたしがアンタを助けちゃうんだから!」
屈託のない笑顔でキミはそう言った。
「助けるんじゃなくて助けられる側だと思うんだけど…」
やれやれと言いたそうに君は呟く。いつまでもこの時間が続けばいいと思っている。この3人で馬鹿やって怒られて、時には泣いて笑って。

「助けるって言ったのに助けられちゃった…」いつものようにヘラヘラと笑う。
「いいから!喋んないで!なんで血が止まらないの!?」
「ねぇ…もうダメだよ。あたしは助からない」
諦めんじゃないわよ。アイツも待ってるっつーの。またみんなでスイーツバイキング行きましょうよ。まだ行ったことないところやしたことないゲームやってバカ騒ぎしましょうよ。
「あんたに言いたいことあったんだよね。友達になってくれてありがとう。これから先あんたは特に迷うことだらけだろうけどさ、いい人間になってよ。正義も悪もあんたからしたらそんなに大差無いんだろうけどさどうせならいい人間になってよ。その方が素敵だしね。アイツにもよろしくね。ごめんね」
そう言ってキミは目を閉じた。

「またあの夢か」
あの日からずっとあの時の夢を見る。あの時の光景が脳裏から離れないのだ。まるで呪いのように。

11/9/2023, 11:19:14 PM