koromo(全てフィクションです)

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見つめられると

「なーにー?」
友人が私の顔をまじまじと覗いてくる。
彼女は私の瞳を見つめている。
「そんなに見つめられると照れちゃうなあ。」
「そんなんじゃないってー、さくらにはどんな風に世界が見えてるのかなーって。」


私は色に弱い。
おそらく色弱と言えるほど重度ではないし、色に弱いと自覚したのも割と最近のこと。
遠くからものを見て色を判断するのは難しい。
確かに見えずらい色もあって、黄色は白に見えるし、青と紫の区別も難しい。
私が色に弱いと確信を持ったのは、あの黒いアウターかわいいって言ったときに一緒にいた友人に
「あれ、ちょっと濃い緑だよ?」って言われたときだった。
今まで色に弱いという自覚があまりなかったのは日常生活に支障がなかったからだ。
今もこれといって支障はない。

それ以降これがひどくなって日常生活に支障が出てくるのではと思い、少し怖くなった私は色弱について調べりした。
色弱といってもやはり人によって見えにくい色の組み合わせが違ったり、暖色、寒色など偏りがあったり様々だった。人によって世界の見え方が違うということは小さい頃から認識があったけれど、自分が色に弱いということに気がづいて身をもってそれを実感した。

友人が私の見ている世界を見ることはできないのと同じように、私も他の人の見ている世界を見ることはできない。


私は友人の瞳をじっと見つめた。
「なになに?そんなに見つめられると照れるな。」
「そんなんじゃないって。あいが見てる世界はどんなのー?」

3/28/2024, 1:27:54 PM