→短編・お兄ちゃんとぼく
ぼくたちはそっくりで、お兄ちゃんは右、ぼくは左って決まってるんだよ。
ぼくたちは、後を追い合って進む。そうしないと前に行けないの。
それでね、オヤスミの時はお隣同士で並んでお話しながらゆっくりするの。
それなのに……
いつも横にいるお兄ちゃんがいなくなっちゃった!
お兄ちゃんとぼく、いっつも一緒だったのにっ。
エーン、エーン。
お兄ちゃん、どこに行っちゃったの?
ぼく、はなればなれは嫌だよ。
「もー! 玄関の靴、脱ぎっぱなし! ちゃんと揃えなさい!」
「あとでやろうと思ってたのー!」
そんなやり取りの後で、玄関のあちこちに脱ぎ散らかされた靴が、男の子の小さな手で一組を成した。
揃えられた靴は、仲良げに寄り合いおしゃべりをしているように見えた。
テーマ; はなればなれ
11/16/2024, 3:53:43 PM