「現実逃避」
宇宙の質量が急速に減り始めてから数日。
宇宙を吸収する謎の存在の正体を突き止めると言って、
ミントグリーンの髪の子ども(?)が家に勝手に住み始めた。
「へー、これを押すと明かりが消えるんだねー!!!」
「この機械なにー??えっ、これで服を洗うのー?!!」
「これは……??『暗黒魔導のすすm「うわああやめろ!!」
やめろ!!!勝手に本棚を漁るな!!!
「急に叫んだら近所迷惑じゃないかー!!!」
そっちがいらんことをするからだろ!!
しかし、自称マッドサイエンティストだというコイツはどういう技術を使って自分の心を読んでいるんだ?
「我々は人智など最初から超えているのだよ!!!テレパシーなどお茶の子さいさい、朝飯前なのさ!!!説明したところでキミには理解などできぬだろうけどね!!!」
「ところで、『暗黒魔導のすすめ』って何だい??コレ、キミが書いたんだろう??少なくともこの星では魔法なんぞ存在しないと思うんだが……??」
だから、や・め・ろ!!!!
触れられたくない部分に触れようとするな!!!
「さもなくば『ル・ラーダ・フォルオル』されちゃうわけ?」
……ル・ラーダ・フォルオルが何かは知らんが、とりあえずやめてくれ……あとでそのノート燃やそう……
ところで、「研究」とやらは進んだのか……?
「あ、えー……っと!そうだなぁ……!!ボクが見たところ、キミたちがかつていた第712宇宙は現在進行形で縮小し続けているなぁ……!!!」
「念のためボクの管轄内の宇宙も観測しているが、ここ以外に異変は起こっていなーい!!!つまり!!!第712宇宙だけを注視すればよいというわけだ!!!」
それから?
「それから……??」
「あー!!そうだ!!!ここにある『マンガ』、全部読ませてくれたまえよ!!!」
は?
「『ヤツ』の正体を探るにはこういったものが役立つとインターネッツに書いてあってね!!!あと『ようつべ』もいいらしいね!!!」
そんなことがネットに書かれてるわけないだろ。
ついでに宇宙が全て吸収されたら恐ろしいことが起こるんじゃなかったのか?
「ぬるぽ」
は?
「そこは『ガッ』って返したまえよ!!!」
おい!誤魔化したな!……さては前から言っている「研究」とやら、ここに来てから何も進んでないな?!
「……あーーー!!!!そうだよ!!!!ご名答!!!!」
では、漫画やネットサーフィンも——
「現実逃避だよ!!!悪かったね!!!!」
「しかし!!!キミもボクの立場に立って考えてみたまえよ!!!『宇宙がナニカに吸収される』なんて事件、数十億年の間に一回たりとも起こったことがないうえ、手掛かりもない!!!そんな状況でボクにどうしろと?!?!!!」
「だが、ニンゲンが作り上げたものを見ていくうちに分かったことがある!!!現実逃避も全く意味がなかったわけじゃぁなかったわけだ!!!」
「ニンゲンは『愛』やら『恋』やら、そういうよく分からんものが好きなんだね!!」
まぁ、確かにそうだな。だいたいの人が経験して、テーマとして扱いやすいからそういう作品も多くなるから間違いではないな。
「もしかしたら、愛や恋が何かしらの鍵を握っているのかも知れぬ!!キミにはそういうのあんまり縁がなさそうだが、宇宙を救うためにも色々教えてくれたまえ!!!」
そうだな。あー……マンガ、読むか?
「読む読むー!……というか、キミこそ現実逃避している場合じゃないんじゃないかい?生き物なんだから相手を見つけた方g「そこの棚の本、今から全部読め。」
「おぉ〜……コワイコワイ……。悪かったよ。ご愁傷様。」
コイツ、本当に「研究」を進める気はあるのか?
普通の人間の自分と今のところ謎でしかないマッドサイエンティスト。果たして、宇宙を救うことはできるのか……?!!
To be continued…
2/27/2024, 2:41:57 PM