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令和7年4月13日

お題 「ひとひら」  

春の雨 ふるえて散るも さだめかな

和服を好むひとりの女が、冷たい菜種梅雨に散る桜を見上げていた。

「今年も、これで終わりかえ」

ひとひらの花弁は、ひとひらの雪のように舞いながら落ちた。

「雨が、雨が 降ったから…」

女は、約束の場所に行けなかった行かなかった。

10年前美大生だった少女が講師に憧れ、この楚々とした桜のような少女の花弁を散らした。

少女は、妊娠し堕胎し、メンヘラに陥り男に当てつけの、死ぬ気のないリストカットのような自殺未遂をする。もはや、100年の恋も覚めるであろう、重たいメンヘラに男は逃げた。

10年後 再会

少女は、この時を待っていたかのように、男の前に現れた。

見違えるほどに熟れた女を、男はどうしてももう一度手に入れたいと思った。

「会いたい」と電話をする。

それから狂ったように二人の関係は再燃する。

「あなたしか、受け入れられない」と女は言った。

やっと、男の離婚が成立した、もう一人いた愛人と結婚するためだ。やはりどれだけ美しい女になっても、メンヘラで男の部屋で手首を切るふりをするような女は本命にはなれない。男はまたしても女を捨てようとした。すると本命の愛人が諭すように言った。「別れましょう、今だったら、まだ好き。好きなまま別れさせて」
本命になる女となれない女の違い。

結局、本命の愛人にも、妻にも去られた男は、
寂しさのあまり、あの女の元へ、しかし全てを知った女は、ようやく長い夢から覚める。

一人になった男は春なのに仕舞い忘れた独居の部屋にあるコタツに入り。

「ずっと、君が好きだ、そばにいてほしい」と魔女に呪文でもかけられたように短い心の嘆きを呟き続ける。

満開の桜に冷えた春の雨が落ち、ひとひらの花弁が震えながら落ちた。

メンヘラ女の呪いの復讐は幕をおろしたように思われた。熱く熱く熱せられた薬缶は、白い湯気をあげ触ると火傷をするほどであったが、火からおろすと、ゆっくりと火気を忘れてゆくものである。

女の内なる自然は開花し、ひとひらの雪のような花弁が静に濡れた歩道に舞い落ちた。

が、しかして、男が最後に呟いた女は誰であったのであろう。誰であろうと、女たちには構わないのである。

それは、過ぎた日の話であるから。


作者 渡辺淳一 「ひとひらの雪」

リスペクトオマージュ  碧海 曽良


今日の冷たい桜散らしの雨に濡れる桜を見ていたら、どうしても、こちらを書きたくて一気に書いた、リスペクトオマージュなので原作とかなり違うはずですが、大まかリスペクトオマージュです。 今時の人がひとことで言えばどうしようもない男とどうしようもない女の話、だから文学。

現実の話じゃなく物語だから良い話。

こんなの、目くじら立てて読む野暮は、人の心のいろはも語れないって。だから、黒髪が白髪に一夜にして変わる人の心労も、親の心も慕う子の心も、説教の順序も解らないわけ。これを私は変えるつもりはない。何故なら、これに取られた言動を私は許さないと決めているから。ブーメランだと言うくせに、自分へのブーメランに泣き言言うなんて馬鹿げています。人に差した人指し指自分に向けろ(笑)

と、いうことで、今夜は「まだ見ぬ、波濤」はお休みさせて頂き、明日の午後から夜に2日分書こうと思っておりますので、宜しくお楽しみいただけると嬉しく思います。

それでは、また。

つけたし、あのさ。
「ひとひら」くらい検索せずに行こーや、日本人?こんな場所に文章書く人ならさ泣き笑い。

ひとひらの 雫こぼれる 春の宵 

          碧海 曽良 

また、セラピストが沸いてるわ笑笑 そんなにセンセーと呼ばれたいのかなぁ?厄介な病だとか?木の芽時はねぇ、なんだか可哀想です。人のことより自分の内なる自然でも解放してください。他人のことは、その人にしか解りません。マウント取りはやめたほうが良いですよ、みっともないしキモいだけ笑笑。ナニ分かった気になってんだろ?それこそ言う権利あるのか?どの立場やねん笑笑 はい、君の好きなブーメラン。はい、また現実と物語ごっちゃの厄介な病気さんは「ひとひらの雪」も知りませんよーでしょうか、渡辺淳一のベストセラーです。


「まだ見ぬ、波濤」 4月13日分

四人は海岸線を抜け、このころリゾート開発とふるさと創生金で開発された海岸線に出来た小洒落たレジャー施設にある、カラオケボックスにいた。カラオケボックスは岡山発祥で、之子たちの故郷にも、1980年代半ば頃からあった。貨物運送用のトラックコンテナを改装し幾つも並べたようなスタイルであった。四人は新しくオープンしたカラオケボックスに入った。都会ではカラオケスナック一曲100円なんて頃。はじめてカラオケスナックデビューで歌った曲は、杏里の「オリビアを聴きながら」先輩とデュエットしたのは、とんねるずの「雨の西麻布」上司と仕方なくデュエットしたのが「居酒屋」そして女の子同士が集まればプリンセス・プリンセス、レベッカの最新曲からはじまって、聖子、明菜、キョンキョンで、アン・ルイスの取り合いで最後はピンク・レディ。
人の歌より自分の曲を探すのが忙しいとしごろ。

おこまが言った「ここの店、“よりみち”ってさぁ、なんか田舎の場末のスナックみたいやん」
相変わらず、女子トークだと辛辣な、おこまらしい意見。「みちくさとかぁ?」桐子が言った「ちょっと、演歌やな」ギャハハと四人で笑った。

3時間が、あっという間に過ぎて気づけば夕暮れ時。夕暮れの海岸を湘南ではないけどカーラジオから清志郎をガンガン鳴らして四人を乗せた白のフェアレディZは爆速した。

そして今度は本物の居酒屋へ最近進出したというチェーン店居酒屋へと向かう。途中これも都会から入って来た陸サーファーたちの誘いを無視して、四人は同窓会の前夜祭を決行した。

1930年代に始まった集団就職は1950年代にピークを迎え、1970年代に終演を迎える。所謂金の玉たちの時代は終わり、高度成長期も終わり、三種の神器も3C時代のカラーテレビ、クーラ、自家用車も手に入れた一般的家庭。バブル期に突入すると、田舎の極一般的な家庭の子供も大学へ進学する、一億総中流意識の時代。都会と田舎は近くなり、コンビニチェーン展開外食産業に量販店は、日本全国を何処に行っても同じ風景に変えて行くのである。

そんな時代の風を感じながら、彼女たちの青春時代は過ぎて行くのであった。

明日は同窓会

つづく

また、今夜〜👋

4/13/2025, 11:37:55 AM