紅月 琥珀

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 最初は祝福されていた。
 優しい神々の腕の中で、安寧を享受する。
 次に経験を送られる。
 辛い事、悲しい事の中から学びを知った。
 それから成長を送られる。
 同じ状況でも、昔とは違う選択肢を見つけられる様になった。
 沢山の贈り物を受け取った。
 友人も仕事も愛情も、全ては祝福されていたからだと知る。
 そうして祝福されたまま、天寿を全うするのだと思っていた。

 それなのに―――優しい神々は歪な神様に食べられて、安寧は崩れ去る。

 最後にもらったモノは呪い。
 永遠に取り憑かれた歪な神様が、世界の理を塗り変えた。
 不完全な不老不死。
 幸福とは程遠い苦痛の中で、半永久的に生かされ続ける。
 体の一部が千切れても吹き飛んでも、腐りながらも生かされていく現状に、心を壊す者もいた。

『ねぇ、いつまでこの地獄は続くの?』
 誰かの呟きが空気を揺らす。
『この体(ぺーじ)が全てなくなるまで。それか⋯⋯この魂(ものがたり)の終わりまで、続くかもしれないね』
 違う誰かの声が聞こえて、僕はふとある考えに至る。
『或いはこの星(しりーず)が終わるまで、僕達は生かされ続けるのかもしれないなぁ』

 死にながら生き続ける僕達は、苦痛に耐えながら⋯⋯いつ来るかもわからない救世主を待ち続ける。
 星(しりーず)が終わる前に、いつかあの歪な女神様を倒してくれる新たな神様を―――この地獄の中でずっと待ち続けるのだろう。

1/25/2025, 1:21:01 PM