恋の歌はどれもいまいち共感出来なかった。
美しく歌い上げるものも、喉を枯らして叫ぶものも、ポップできらきらした衣装で歌うものも、どれも私の体感とは違って思えた。
ラブソング、と銘打ってるからかもしれない。
恋愛というものにそこまで思い入れが無いからかもしれない。
ラブソングの世界では春も夏も秋も冬も、みんな恋の季節で全ての事象が恋愛に繋がっている。
生憎私はそんな世界を見たことが無い。
恋愛という概念が何よりも尊いこの世界で、恋愛感情の無い私はまるで異星人になったみたいだ。
――あぁ、そういえば。
宇宙人をテーマにしたラブソングもあったね、昔。
あの歌に出てくる〝私〟は、概念も価値観も、そしておそらく体の作りそのものも違う生き物と、本当に恋が出来たのだろうか?
END
「ラブソング」
5/6/2025, 12:42:51 PM