最悪
「あ〜!!!もう!!!!なんで出来ないの!!!」
家中に子供の泣き叫ぶ声が響き渡っている。
イライラが止まらない、産まれた時には全然そんなこと無かったのに。俗に言うイヤイヤ期が始まってからこの子のことが可愛いと思えなくなってしまった。
妊娠しているとわかった瞬間瞬く間に煙を巻いて逃げたあいつとの子供を愛せる自信がなくて不安だったけれど、生まれてきてくれたこの子の顔をみてそんな不安どこかに吹き飛んだ。この子は私の子だ、一生愛して見せるとか思ったのに
仕事の疲れも相まって本当に疲れる。夜は夜泣き、早朝に目が覚めて起こされる。朝ごはんはぐずって食べてくれないし保育園にもいきたくないと駄々をこねる。仕事中も体調が悪いから迎えの催促のお陰で肩身が狭い。
1度児相に通報されたこともあった。
全部この子が居なければこんな思いしないで済んだのに
こいつさえ居なければ
手をあげようとして、既のところでハッとした。
だめだ、1週間後には2歳児健診が控えている。
そのまま放置して眠りについた。
「発育が芳しくありませんね、体重も平均以下ですし…なにか心当たりはありませんか」
「その、イヤイヤ期になってしまったのか全然ご飯を食べてくれなくて。食べさせなきゃとは思うんですけど上手くいかなくて…」
「イヤイヤ期は精神発達の面において重要なことですので、お子さんともう少し向き合ってあげてください」
「…はい」
これ以上向き合うなんて無理
元々望まない妊娠だったわけだし、どんどん顔が彼そっくりになっていく
検診の時はすうすう寝てたのに、家に着いた瞬間大合唱
もううんざりだ
なんで私だけがこんな思いをしなきゃ行けないんだ
なんで同年代の子達は遊んでるのに遊べないんだ
なんであの男は今ものうのうと生きてるんだ
「どいつもこいつも…お前なんか、産まなきゃ良かったんだ!!!」
そう言って子供の首に手をかけた
ピンポーンと、間延びしたチャイムが室内に鳴り響いた
「今日遊ぶ予定だったんだけど連絡無かったから来ちゃった、あらあら子供ちゃんご機嫌ななめかな?」
玄関まで行くと、高校の時の友人だった。
もう限界だった。声を上げて泣いた。彼女の笑顔をみてほっとしてしまったのかもしれない
「もう私無理だ〜、母親失格なの、産まなきゃ良かったって毎日毎日思うの、子供を愛せないの」
「頑張ってるね、1人で子供育てるなんて並大抵の事じゃできないのに、周りの支えなしで立たなくてもいいんだよ。もっと甘えていいんだよ。どっぷり甘えなくたっていいの、周りで支えたいって思ってる人私含めているからほんの少し寄りかかってくれたら嬉しいな。仕事大変だったら喜んで面倒見たいと思うし、ご飯作るの億劫だったら一緒に作ろう。なかなか眠ってくれないのなら方法を一緒に考えさせてくれると嬉しいの。打ち明けてくれて、家にあげてくれて本当にありがとう」
彼女にあやされて落ち着いた子供は、キャッキャと笑いながら1人でえ本を読んでいた。
何時ぶりだろう、こんな笑顔見るの
確かに全部自分でやらなければと思っていた
一時も気が抜けなかった
周りに頼りたくなかった、弱い自分を見せたくなかった
完璧でいたい
それでもこのこの前なら、ほんのすこし寄りかからせてもらってもいいのかなと思った。
こんな存在になりたいな
現代社会人1人で抱え込んじゃう人多い気がするんです
子育てだけに限らず色んなことで大変なこととかあると思うんです、起きてるだけで丸儲けとか言うけど実は大損だったりするんじゃないかと錯覚してしまう時もある
潰れちゃう前に少しでも頼ってくれると本当に嬉しいの
同時に何も出来ない無力さに苛まれる
もっと色んな人支えられるように無力じゃなく在りたいです
6/9/2023, 12:54:33 AM