黒瀬くらげ

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命は大切に





「ねぇ...君、死にたい?」


「は...?」
「君さぁ、ここんとこ死にたいって思ってない?」
「は...?なんですか、急に」
「オレの質問に答えてよ」
「いい加減にしてください...警察呼びますよ」
「ケーサツ?それって...オレより偉いヒト?」
「は?...なんなんですか」
「オレは死神」
「すみません...俺、用事あるんで」
「お前が死にたいなら...殺してあげるよ?」



俺はいつも通り家に帰るために歩いてた。
塾で疲れてたから、なるべく早く帰りたかった。
塾から家までの帰り道は、そこまで遠くなかった。
ただ...俺はあんまり通りたくない場所が
1箇所あった。
そこはとても暗くて、人通りも少なくて
色んな意味で怖かった。だから通りたくなかった。
でも、今日は早く帰りたかった。だから
怖いけど...頑張って通った。
そしたらこの死神とやらに会った。
怖くてしょうがないのに...足が動かない。
この人が死神かそうでないかはどうでもいい。
死神でも変質者でも逃げなきゃいけない。
怖い。早く逃げたい。

「お前が死にたいなら...殺してあげるよ?」

「え...」
「どうだ?とりあえず死んでみるか?」
「...死にたい」
「そーかそーか...んじゃ、理由を聞こうか」
「俺は...学校でも家でも必要とされない」
「君は必要とされたいの?」
「わからない」
「うーん...曖昧だな」
「俺には居場所がない」
「君は嫌われモノなんだねぇ」
「俺はいつも殴られて...」
「えぇ...痛そうだねぇ」
「だから...もういい」
「疲れたってことかな?」
「うん...死んで全部終わりにしたい」
「なるほどねぇ」
「...」
「わかった!!まず名前を教えてよ」
「...雨宮 玲」
「アマミヤ レイ?」
「うん」
「あっはwヘンな名前だなお前」
「変なのかな」
「んー...良いねぇ」
「何が...?」
「まぁとりあえずよろしくねぇ、レイ」
「はぁ...えっと、アンタの名前は......」
「オレは死神」
「さっきも言ってた」
「だから...オレのことは死神様って呼んで」
「死神...様......?」
「そーだ」
「はぁ...」


「そんじゃーまずは、君に覚悟があるか」
「え...なんの覚悟?」
「そりゃもちろん死ぬ覚悟だよ」
「...」
「でも、死ぬんだったら殺す覚悟も必要だよなぁ」

5/5/2023, 2:17:16 PM