玄い闇を抜け出して
君は小さな指を握った
青い空を駆け出して
君は小さな手を取った
朱い陽射しに立ち向かい
君は小さく声綴じた
季節を重ねて時を経て
君が大きくなっていく
その道を寿ぎ見守って
いつか白い光の中
小さく小さくなった背を
抱いて天の国迎えるまで
君の瞳に映りゆく
全てが輝いているように
‹君と歩いた道›
砂糖にスパイス素敵な何か
そうして女の子できるなら
カエルかたつむり子犬の尾
そうして男の子できるなら
可愛い妹が欲しかった
頼れる兄が欲しかった
だから探して集め果て
ぎゅっとぎゅっとかためてみた
キャベツの中にも橋の下にも
コウノトリのお腹にもなかったから
ぎゅっとぎゅっとお願いごと
愛する家族が欲しかった
‹夢見る少女のように›
例えば君が誰も居ない
まさらの地に降り立つとき
君の白銀の一歩目を
私は確かに見送ろう
例えば君が命満つ
混沌の地に降り立つとき
君の黒影消えるまで
私は確かに見送ろう
例えば君が手を伸ばし
私をその地に招いても
留まる私は君の手が
力尽きるまで見守ろう
君がいつか還るとき
再び迷子にならぬよう
私は此処に留まろう
君のいく先見送ろう
‹さあ行こう›
水面は静かに凪いでいた
土砂に濁りながらも水面は
青い空を映し凪いでいた
水面は静かに揺れていた
汚泥に澱みながらも水面は
星々を散らし揺れていた
彼女は静かに揺蕩った
腹に心に何かを隠して
それでも彼女は美しく
静か静かに揺蕩った
‹水たまりに映る空›
6/9/2025, 10:06:06 AM