川柳えむ

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 濡れたアスファルトから立ち上る湿気の混じった雨上がりの匂い。
 濃い灰色の、重い雲の隙間から降りる天使の梯子。
 雨宿りに一人入った四阿からそっと辺りの様子を窺う。
 雨は止んだ。人通りは少ない。
 もう帰れる。でも、まだ帰りたくないな。
 せめてもう少し、涙の跡が渇くまで。


『雨の香り、涙の跡』

6/19/2025, 10:58:20 PM