いつか来たことがある。
それは夢のようだった気もするし、
君と繋いだ手の感触や、
優しい風の匂いを覚えているから、
たぶん現実だったのだと思う。
髪が風になびいて眩しそうな顔をする君を見て
愛おしいと思った。
なに?と優しく聞き返す君に
なんでもないよ。と答える。
ただそんな風景には少しにつかない
メロディーが僕の頭の中に鳴り続ける。
ヴィヴァルディ
チェロ・ソナタ第5番アレグロ
僕は現実を夢に変えて
君との未来を放棄した。
君と話したことはほとんど忘れてしまったのに
素早いメロディーと生温い風が
今でも時々僕の耳に吹き付ける。
花畑
9/18/2024, 7:45:23 AM