喜村

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 バレンタインデーの時に手作りチョコレートを先輩に渡した。正式には、渡してもらった。
その中にはメッセージカードも忍ばせており、私のSNSやメールアドレス、ラインに至るまで、私の連絡つけれるものを全て書いた。
 ダメ元だったけど、まさか本当に返事がくるなんて。
『チョコレートありがとう、おいしかったよ』
 すごく嬉しくて、心の中で嬉しい悲鳴を轟かせる。
しかし、その後にまたメッセージが続く。
『実は、俺には彼女がいるんだよね』
 嬉しい悲鳴が悲しみの悲鳴になる。
--まさか……聞いてない、みたことない。
 きっと嘘だと思ったのだが、返事をうつ暇を与えずにまたメッセージがくる。
『でも、チョコレートや気持ちは本当に嬉しかったよ、だからメッセージ送ってるんだ』
 もう、スマホを見ているのにめまいがすり。
指が震えて返事がうてない。頭が真っ白で、目の前は真っ暗。
 信じられない、信じたくもない。何かの嘘であってほしい。
『彼女は年上だから、彼女がいる素振りしてなかったから、知らなかったのも無理ないけど……』
「やめて……」
 思わず、口からついてでた。私の声。
震える指で返事をなんとか打った。そして、送信した。
『お幸せに』


【幸せに】
※【何気ないふり】の続き

3/31/2023, 10:20:30 AM