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「わたし、目がいいんだよ」
「昼の星が見えるの」
別に夜じゃなくたって、星は居る。昼は太陽が、彼らを匿っているだけなのだと。
それは、幼い私にはあまりに衝撃的で、同時に残酷な事実だった。
星にも階級がある気がしたのだ。
太陽が一番、夜の星が二番、昼の星が三番。
「みにいこう」
「え? 何を?」
「昼の星!」
私だけは昼の星を見てあげたい。朽ちるまで誰にも会わないのはきっと寂しい。

「ほら、見えるでしょ?」
「ぜんぜん……」
「なんでー?」
青空を指さして、三角形だよ、なんて言ってのける少女は、多分私とは住む世界が違ったんだと思う。私が見つけた昼の星は、しつこいまでに輝く太陽と――月。それだけ。
次の日も少女は空を見ていた。きっと少女の目に映っているのは、私が見る青空なんかじゃなくて、昼の星空なのだろう。そう思うと、少し損をしているような気分になる。

私達は常に星空の下で生きている。それは、地球に居るという証明だ。
明日の朝、昼の空を見上げて星を見てみて。
可視化世界のスケール感は、コズミックで見落とされるくらいちっぽけだ。
恐怖や困難、羞恥から逃げ出しても何も変わらない。
【星空の下で】2024/04/06
あとで修正。星の話でいうと、北極星って持ち上げられすぎだと私は思います。

4/5/2024, 3:42:34 PM