紗夢(シャム)

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【愛を叫ぶ。】【正直】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

5/5 PM 10:30

 真夜(よる)が槇(まき)くんと
 男子会をすると言い出して、
 家に槇くんが泊まりに来ている。
 じゃあ宵ちゃんはわたしと女子会だね、
 と暁に言われるがまま、アタシは暁の
 部屋に泊まりに来ていた。

「真夜くん、男子会楽しめてるかな~?」
「……どうかしらね」

 目の前にいる暁は、アイスティーを
 飲みながら、にこにこ笑っている。
 きっと、楽しんでるといいな、と
 思っているんだろうけれど。
 アタシには、真夜がそういうことを
 楽しむとも、自ら積極的にやるとも
 思えない。

「どうせ、アンタの入れ知恵
 なんでしょ? 今回の男子会は」
「正解。真夜くんに負けず劣らず、
 宵ちゃんも鋭いねぇ」

 鋭いも何も、こんなに簡単な
 犯人探しはない。
 
「なんで男子会なんてするように
 言ったのよ?」
「だって、せっかく真夜くんに
 同性のお友達が出来たんだもん、
 友好を深められたらいいと思って。
 天明(てんめい)くんが真夜くんの
 心の友になってくれたら、
 安心感あるし」
「心の友……?」
「ほら、真夜くんだって年頃の
 男の子なんだよ? もしかしたら、
 わたしたちには話しづらいけど、
 男友達になら言える、みたいな
 ことがあるかもしれないでしょ?」
「それは、……そう、なのかも
 しれないけど」

 真夜に、アタシたち以外の
 気兼ねなく何でも話せる友人が
 出来るのは良いことだと思えるのに、
 どうしてか、一瞬、言葉に詰まって
 しまいそうになった。
 
「――あ、大丈夫大丈夫。どれだけ
 仲良しなお友達が出来ても、
 真夜くんにとっての1番は
 絶え間なく宵ちゃんだから」
「……別に、そんなこと心配してないわ」
「宵ちゃーん。宵ちゃんも、わたしと
 2人きりの時くらい、恥ずかしがらずに
 真夜くんへの愛を叫んでくれて
 いいんだよ?
 いつもわたしと真夜くんが、
 惜しみなくやってるように!」
「……そうね。アンタと真夜は、
 本当に自分の心に正直よね」
「いや~、照れますな~」
「言っておくけど、褒めてないから」

7/2/2023, 12:53:01 PM