カラスが落ちていた。
僕はカラスってとっても綺麗な鳥だと思っている。
真っ黒で、声はうるさいけれど、艶やかで賢くて。
でも、ゴミを漁るからか、皆に嫌われている。
いつだか、カラスを飼っている人に会った。
ペットのカラスは良く躾けられていて、憧れだった。
野鳥ではなくペット用に輸入されたカラスらしい。
落ちていたのは野鳥のカラスだ。
車に撥ねられたのか、ぐったりしている。
ハンカチ越しに持ち上げて、連れ帰った。
獣医さんに診せて、治療してあげたいと思った。
飼えなくてもいいから。
畑で野焼きをしていた親は、僕の腕のカラスを見て嫌な顔をした。
まだ息があるのに、捨てなさいと怒る。
可哀想だ、助けたいと言ったら、僕から取り上げた。
そしてカラスを、ハンカチごと火に放り込んだ。
火は半死半生のカラスを覆い尽くした。
燃えて揺れる黒い羽根が目に焼き付く。
それも涙でにじんで、やがて何も見えなくなった。
【揺れる羽根】
10/25/2025, 10:35:26 AM