John Doe(短編小説)

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世紀の阿婆擦れ女コーティー


“スパンキー”とかいう最低最悪の渾名で僕を呼ぶコーティー・フラーを僕は愛していた。だから僕は世紀(性器)の阿婆擦れ女と心の中で彼女を侮辱してやるのさ。僕は控えめな性格だけど、内心は酷く暴力的なのさ。それこそ、泳ぎ回る“スパンキー”のようにね。

コーティーにはダニエルという兄がいる。コイツは無職の引きこもりの癖に芸術家気取りの変態野郎なんだ。女の裸の絵ばかり描いて、実に気持ち悪いヤツなんだな。しかもメガネが本当に似合ってない。ダサいなんてものじゃないよ、アレは。80年代の若者だってもう少しマシなのをかけてたさ。

まあ兄は酷いけど、コーティーは実に美しい女性だよ。だけどね、言葉遣いがよろしくないんだな。僕を“スパンキー”と呼んだりするし、幼なじみであり親友のクレイグ・マッコールを“タマナシ”と呼ぶ。だからクレイグは僕に「あんな女とは付き合うな」と忠告してくれたけど、僕は彼女が好きだから仕方なく親友の忠告を無視せざるを得ない。

意外なことにね、コーティーは処女なんだ。でもきっとそれは嘘だと思うだろ? だけどホントなんだよ。だってキスしようとするだけで恥ずかしがるんだからさ。そういうギャップが僕は好きなんだなあ。他にも下品な言葉遣いをする女の子たちはたくさんいるけど、コーティーほど可愛い最低最悪な女の子はこの世界広しと言えど居ないんじゃないかな。

だけど、やっぱりクレイグを“タマナシ”と呼ぶのは止めて欲しいものだね。彼は真面目で慎重なだけなんだから、恋愛経験の有無で人を侮蔑するのは許されない行為だ。でも、僕が本気でそれを彼女に指摘すればきっと彼女はベソカキながら謝るんだろうと思うと、やっぱりこの世紀の阿婆擦れ女が僕は好きなんだと思い知らされるんだろう。

僕は明日学校で彼女を泣かすつもりだ。
泣き顔をイメージして寝ると、僕の右の口角がほんの僅かに上がっていた。

10/9/2023, 10:41:23 AM