みんみんどり

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学生の話
台風のような君。

───

「───ずっと好きでした!付き合ってください!」

今、俺は知らない子に告白された。

学年も、クラスも、所属する委員会も知らない女の子。
放課後の校舎裏でこんなことになるなんて、なんだか少女漫画みたいだ。
でも俺自身は呼び出されたわけでもなく、ただ美化倉庫に物を取りに来ただけだった。
声をかけられたと思って振り向いたらこんな事に。

「いや、俺、君のこと知らないんだけど…」
「じゃあ今日知ってください!」

…いきなり始まった自己紹介。
名前、学年、クラス、委員会、好きな物…
まぁとにかく色々情報過多になってはいるが。

「…ありがとう」
「あの、私のことは今日知ってもらったばっかりなんですけど、」

じっと俺の瞳を見つめる。くりっとしていて、少し幼く見える。俺の1つ下の学年と言っていた、ような。


「絶対、振り向かせて見せます!!」


そう言うと彼女は「ではー!」と颯爽と走っていった。
その姿を、俺は釘付けになって眺めていた。





(ひぃぃっ、勢いで言っちゃったけど大丈夫だったかな…心臓バクバクだよ……)


20250130   【まだ知らない君】

1/30/2025, 10:17:14 AM