旅の途中
『そうだ、京都に行こう』
あれはキャッチーなフレーズだなと感心した。
CMとして完璧だと思ったのは今も昔も変わらない。
あのCMが流れなくなっても幾久しく。
変わらず頭から消えることがない事からも完成度の高さを証明している。
いそいそと旅支度をしながら山下達郎を口ずさむ。今やクリスマスの定番ソングになったクリスマスイブもCMソングが広まった起源ではないだろうか。
クリスマスもひと月前に終わってしまって次のクリスマスまでまだまだあるけれど、旅支度をする時にこの歌を歌いながらするのもまた、自分なりのルーティンだ。
いろんなことがあっても、失うものも得るものも沢山あった中でいつも人生の軌道修正は旅と共にある。
人生という旅に普段と違う旅行というスパイスを一振り。思いついた時には必ず頭をよぎる。
『そうだ、京都に行こう』
煮詰まっても絶望しても人生は続く。
続く限り終わらない。
終わらないから何度だって線路に無数にある転てつ機を見つけられるのだ。
『絶望したら、美味いもの食べて寝るかな!』
いつか見たドラマのセリフ。あれも人生で見つけた分岐点だ。世界はたくさんの分岐点に満ちている。
バン!と勢いよくキャリーを締めて立ち上がる。
拳を振り上げて反対の手でキャリーを持った。
『そうだ!京都にいくぞ!!』
おー!なんて元気よく空元気をあげる自分の姿がなんだか妙におかしくて一人でケタケタと笑った。
私の旅はまだまだ始まったばかりです。
1/31/2025, 10:53:50 PM