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あなたは誰


あなたの属する集団や組織の中に、身元のよくわからない人物が紛れていることはないだろうか。

いやいやそれはないでしょ、って?私もそう思う。普通に考えたら、ない。

しかし私の人生の中で、自分の属した集団によくわからない人物がいたことが少なくとも2回はある。


1回目は高校の部活動。

気付いたら、入部当初はいなかったよくわからない大人二人に指導されていた。
全体指揮を取るスズキさん(仮)と、個々の指導に付く竹ちゃん(仮)は明らかに教員ではなく、コーチとして雇われたわけでもない謎の存在ながらも私たちの日常に根を張っていった。

知り得た情報を繋ぎ合わせると、ただでさえ弱小の部活にド素人の教員が顧問になってしまい、それを見かねた出入り業者(スズキさん)が口を出すようになり、知り合いだったOB(竹ちゃん・当時フリーター)も呼び寄せた、というようなことだったらしい。

そんなことある??

しかし、とりあえず害はなさそうだったのと、若さゆえの適応力により、私たちは謎の大人に指導されることに特に反発はせずに日々を過ごした。


2回目は、大学時代のやはり部活動。

色々な学部から集まった沢山の仲間の中に「川さん(仮)」と呼ばれる人物がいた。
「川さんって何学部なんですか?」と先輩に聞くと、「ああ、あいつこの大学じゃないんだよ。というか大学生でもないらしい」と言う。
学外の人間がいる理由を尋ねても「さあ?山田が連れてきたんだったかな?もう5年くらいいるっぽい」と言った具合だ。
まあ都会の大学では大学を超えてサークル活動をするらしいし、地方大でもたまにはそういうことがあるのかな。
私はそれ以上の疑問を持つこともなく、川さんともすぐに馴染んだ。


結局彼らが何だったのか、はっきりはわからない。
今になってみれば、内部に入り込んで宗教や危ないバイトに勧誘する輩である可能性なども考えられるが、若さゆえのものか時代のせいか、あなたは誰?と聞くことは最後までしなかった。
おおらかだったとも言えるし、危機感がなかったとも言える。

アリの巣にはアリではない虫が結構な数紛れ込んでいる、そんな話を思い出す。
それと同じように、集団にはよくわからない個体を受け入れてしまう性質があることを実感した。


あなたの属する組織に身元のよくわからない人物が紛れていることはないだろうか。
いやいやそれはないでしょって?
その人物は、あなたのすぐ側にいるのかもしれませんよ────ねえ、あなたは誰?

(ここで世にも奇妙な物語のBGMが流れる)

2/19/2025, 11:59:02 AM