#友情
ひとりが寂しいキミのため、そうしてボクはキミの親友になった。
初めのころ、キミはボクのことなんて見向きもしてくれなかったね。
それから1年がたち、2年が過ぎ、3年目の春、やっとキミはボクに触れてくれた。
抱き上げて、一緒に来て、そう言ってボクを連れて行ったのは、たくさんの石が並ぶ広場だった。
「ここにね、僕のお父さんとお母さんがいるんだ」
その一角にある小さな石の前で、キミはその大きな目から、ほとりほとりと雨をふらせながら、ボクにそう教えてくれた。
「今まで怖くてこれなかったけど、きみが一緒だからやっと来れたんだ」
ありがとう。そういって固いボクの体をめいっぱいに抱きしめてきたキミ。
そんなキミを見て、ボクは、ボクが壊れて動かなかくなってしまうまで、ずっとずっと友だちでいよう、そう誓ったんだ。
あれからいくつも季節がすぎた今も、すっかり大人になったキミの隣にまだボクが友だちとしていて、そんなキミそっくりなキミの子どもたちと、ボクそっくりな小さなボクたちも、とても仲のいい友だちとして、こうして一緒に過ごしている。
そして、それはこれから先もきっと変わらず続いていくんだろう。
7/24/2023, 10:26:15 AM