もう一歩だけ踏み出せば、今日も目標の7000歩に届く。しかし、暑すぎて溶けてしまいそう。私は布団から、もう一歩も動きたくないのだ。クーラーの風がそよそよと前髪を撫でる。このまま寝てしまいたい。
「お母さん、始業式に持ってく雑巾がない」
目を開くと、パジャマ姿の娘が、泣きそうな顔で座っていた。
「……何でこんな夜に言うかなあ。ちゃんと準備したって、さっき聞いたじゃない」
「忘れてた……」
娘の「忘れてた」は、もう千回は聞いた気がする。しばらく聞かずに済んでいたのに。私は仕方なく立ち上がる。7000歩達成。ふと、ラジオ体操の判子を貰ったような気分になった。
夏休みが終わる。
8/26/2025, 3:49:28 AM