不特定多数

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鐘の音

君に指輪を嵌めている彼の瞳を見て、この間のことを思い出したんだ。幸せにしてやれよって言うと彼はいつになく嬉しそうに笑っていて、本当に本当に、せいせいしたものだ。
私はもう、君で悩むこともない。彼に羨望感を抱くことも、君の目線の先を追うこともない。
彼と彼女の、私の親友と想い人の、結婚式は順調に進んでいる。
二人が永遠の愛を誓うと鐘が鳴り始める。その音はどこか無機質に思えたが、妙に心臓に響く。つい目頭が熱くなったが、隠すこともないだろう。これはきっと、祝福のための涙だから。
桜舞い散る中で見たドレス姿の君は何よりも綺麗だった。

8/5/2024, 5:37:46 PM