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【誇らしさ】

「あなたはこの街の誇りです!」
 人々の声に背中を押され、若き勇者は魔王を倒すために旅立ちました。

「たくさん修行しました。こうしてあなた様をお護りする任に就けたことが、私の誇りです」
 教会から派遣された忠実な僧侶も、勇者とともに旅立ちました。

「おまえのような弟子を持てて、わしは誇らしいのう」
 師から免許皆伝を告げられた武闘家が、勇者の仲間に加わりました。

「この樫の杖は我が一族の誇り。この杖にかけて、魔王を倒すと誓いましょう」
 そう告げるエルフの魔術師が、勇者の仲間に加わりました。

 勇者一行は山を越え河を越え荒野を越え、長い旅の果てに、ついに魔王城へとたどり着きました。
 そして、魔王の卑劣な罠にかかって負けてしまいました。

 瀕死の勇者は、魔王に向かって叫びました。
「正々堂々と戦わずにこんな卑怯な手を使うとは、おまえに誇りはないのか!」
「誇り? そんな腹の足しにもならんものをありがたがるほど、魔王は暇ではないのだ」
 魔王はためらいなく勇者たちにとどめを刺しました。

「こたびも人間どものしつこい侵略を退け、我が城を護ることができた。皆の協力に感謝する」
 玉座に堂々と座した魔王は、居並ぶ配下たちを誇らしげに見回しました。

「ありがたきお言葉。魔王さまのお役に立てるのでしたら、どんな姑息な手をも使いましょう」
 配下の魔物たちも、誇らしげな顔で応えました。

 そして今日も、どこかの街から若い勇者が魔王討伐のために旅立ちます。人々の声援を背に受け、胸いっぱいの誇りを携えて。


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お久しぶりです。休眠中にもぽつぽつ♡をいただいていたようで、ありがとうございます。励みになります。
またこれからしばらく平日に投稿していきます。よろしくお願いいたします。

8/17/2024, 2:03:05 AM