七瀬弥生

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行き交う人々を窓から眺める。
寒くても、暑くても私はここに立って待つしかできない。
遊ぶ金欲しさに働いているはずが、遊ぶ時間がどんどん減っていくのは現代のリアルに潜むバグだ。

ふと、棚の間からこちらをみる女性と目があった。
女性はそそくさと目を逸らし棚の向こうに隠れてしまった。
ははあ、なるほど。
私はにやりと笑って店の奥にも響くような声で叫んだ。

「肉まん蒸し上がりましたあ!ご一緒にいかがですかあ!」

言い終わるより早く、さっきの女性がレジに向かってきた。

「あの、これと…肉まん一つください」

こんなに寒いと肉まん、食べたくなるよな。
冬のお買い物の際にはご一緒に肉まんいかがですか?

12/18/2023, 10:56:31 AM