追いついたあなたが並ぶのを待って歩き出し、冷たい風に首をすくめた。目の前にほわりと湯気が立つ。白い断面に私はさっそくかぶりつく。ポケットに手を入れたままで。
「ほこにはったの? へんへん気づはなはった」
「食べてから喋りなって!」
肉まんから手を離したあなたが、おなじものを頬張って笑う。
「さっきシュトーレン売ってた店の隣」
「さすが、よく分かったね」
「お店の人と目が合ってね、おすすめされちゃった。おいしそうだったし」
肩からずり落ちそうになった紙袋の紐を私は掛け直す。そういう意味の『よく分かったね』じゃなかったんだけど、まあいいか。
「ちなみに、はんぶんこする前はこんな形ね」
寄せられた画面の中で、雪だるまがにっこりしていた。
「私食べたの、胴体?」
「頭〜! 大っきいほういただきました〜!」
楽しげな横顔の奥にきらめく街並みが絵の中の景色みたい。
クリスマスマーケットで来年のカレンダーを選ぶと、今年がようやく終わる気がする。紙袋の中で、丸まって重なるカラフルなクラフト。もうすぐ掛け替えるこのカレンダーもまた、あなたと一緒にめくれますように。
『きらめく街並み
12/6/2025, 9:36:45 AM