うどん巫女

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意味がないこと(2023..11.8)

唐突な話だが、思春期というやつはどうにも厄介なやつで、まるで世界が理不尽だらけで正しいのは自分だけ、なんて気持ちになることがある。しかもこいつは避けようがないというのだから、さらに始末が悪いのだ。
例に漏れず私も、そんな思春期というやつに取り憑かれたことがある(もしかしたら現在進行形かもしれないが、人は過去しか振り返れない生き物なのだ)。
親の言うこと、学校で言われること、友達のしていること……なにもかもが非効率で、道理に合っていない、無意味なことのように思えた。みんな、もっといいやり方を考えたらいいのにと思った。
冷静に考えてみればそんなことはないし、自分の考えこそが正しいのだという私こそ幼稚きわまりないのだが、何事も当事者というのは往々にして視野狭窄になりがちだ。時折ふっと我に返ると、そんな自分に嫌気がさし、気分が憂鬱になって、さらに視野狭窄になる。そんな悪循環を繰り返していた。
ある日、食事が不味くなった。とは言っても、本当に味が変わったわけではない。心が疲れすぎて、物を食うということに楽しさを見出せなくなってしまったのだ。幸い、しばらく休養を取れば何の問題もなくなったが、今思えば、そこが私の思春期の一区切りだったようだ。
食事が美味しいと感じられる、よく眠れる、他人の話を面白いと思える……こんなことは些細なことで、別になくなってもなんともないと思っていた。しかし、これは使い古された表現になるが、失って初めてわかるというやつで、別に深い意味がないものこそ、失ってしまうと愕然とするのだ。特に意味のない、大切でもないと思っていたものこそ、わたしをわたしたらしめている、礎だったのだと、やっと気づけたのである。

11/8/2023, 10:48:59 AM