生命力がとても強く、人に依存する必要がない。掘り起こせない地下深く、こちらの届かない場所までその根は伸びる。水がなくなれば枯れる前に首を落とし、違う根の先で枝葉をつけてまた花を咲かせる。彼が自分の傍にいるのは、特別に手を掛け仕向けた結果でしかなかった。一度、どこにも行かないように頼んだことがある。いつまで続くと知らぬ関係、時々は不安になるのだ。しばらく目を白黒させたあと「どこかに行きそうに見えるのか」と不思議そうに首を傾げていた。素知らぬ顔で今日も隣で美しく咲き誇り、温い風にふわふわと揺れる。あの言葉を額面通りに受け取るには、自分はこの花に入れ込みすぎてしまっていた。
(題:繊細な花)
6/26/2024, 7:20:44 AM