#56『失恋』
先生に用があると呼び出された放課後
面倒な仕事を頼まれて、厭々説明を聞く
ふと2階の窓から昇降口を見下ろせば
ハッと息を呑み、胸が締め付けられようだ
笑い合って並んで帰る君と彼女
その姿で瞬時に繋がった
彼女と話してたから君も放課後居残ってたとか、
バレンタインに貰えたという数とか。
全部全部わかっちゃった
そんな前から叶わぬ恋だったなんて
自分が惨めに思えてどうしようもない
でもそんなこと、
今先生に言うわけにもいかないし
少しだけ引きつる笑顔を片手で押さえながら
何事もなかったかのように振る舞った
6/4/2024, 6:36:21 AM