楽しいことが好き。シリアスは苦手。
それでも、逃げられないことは沢山ある。
仕事のことでも、生活のことでも。
たくさんの〝楽しい〟に囲まれていても、時折訪れる逃げることが出来ない〝シリアス〟。
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彼女の職場は、時に事件、事故に巻き込まれやすい場所にある。
慣れて油断した時に、彼女の職場で事故からの事件が起こったと聞いた。
頭の中で混乱して、彼女のことが心配になるが、俺は俺の仕事……救急隊としての仕事をした。
救助で病院に戻った時、彼女がいた。
背筋が凍る。
ほんの一瞬だけの動揺だったが、俺は目の前の救助に集中した。
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今回の事故対応が一段落した時、休憩と称して彼女の職場に向かった。
彼女の会社の近くに着くと、スマホを取り出して彼女を呼び出す。
彼女は、仕事を抜け出して、俺のところに走って来てくれた。
「どうしたんですか?」
「大丈夫!? さっき、病院にいなかった!?」
「あ! あれは友達のお迎えと、私もちょうどケガをしちゃったので、治してもらおうって行ったんです」
彼女は恥ずかしそうに照れ笑いをする。
そうか、あの事故に他の社員が巻き込まれたのか。
「そ、そっか。友達は無事?」
「はい、お陰様で!」
「君は無事?」
「私はもっと元気です!!」
俺は安心して、しゃがみこんでしまった。
「心配……してくれたんですか?」
彼女は俺に寄り添うようにしゃがみこんでくれた。
俺は小さく頷いた。
彼女が俺の両手を取って、立ち上がらせてくれる。
「私は無事です。心配してくれて、ありがとうございます」
彼女は優しい声で言いながら、俺に微笑む。
視界が涙で歪みそうになるのをグッと我慢して、彼女を強く抱きしめた。
「もう! 俺、こういうことは本当に、苦手なんだからね〜」
おわり
お題:好き嫌い
6/12/2024, 2:20:33 PM