お題『雪を待つ』
『ごめん、10分遅れる』
そんな文言と、ごめん!という絵文字。もう、と頬をふくらませて、待つこととした。
いつもあいつは遅れてくる。今回はいいほうだ。最悪、1時間遅れてくることもある。その事態を想像しただけで辟易する。
考えるのをやめた。
寒い。上を向いて、曇った空を見つめた。
これからもっと寒くなることを想像して、頬を擦る。 これから先、ここは粉砂糖がまぶされたような世界へ変貌する。
早く来ないかな。と思いながら、きゅっと目を閉じた。
寒くなってきちゃった。
鼻の上に、ヒヤリと何かが落ちた。
「わ」
上を見上げると、ふわふわした雪が降ってきていた。ああ、降ってきた…と首を横に振る。
「ごめーん」
たたた、と向こうから走ってきた、見知った顔を見つけた。
「雪の方が早いんだけど。」
12/15/2024, 2:51:54 PM