一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→自家製の雲

会社帰りの夜道、急に冷えた夜の空気が頬に痛い。そうだった、冬の寒さは痛いものだったなと思い出す。
普段は目に止めない自動販売機が、誘うように明るくて思わず足を止める。
ホットコーヒーなぞを買ってみる。冷え切った指に缶の温かさが染みた。
一口啜って、ホッとひと息。コーヒーフレーバーの白い吐息がふわり。
まるで雲のようだ。
思い立って、夜空に自家製の雲を放ってみる。
すぐに掻き消えてしまったけれど、私の空想の世界では、ソイツは何処までも夜空を登って行った。


テーマ; 白い吐息

12/7/2025, 2:03:46 PM