こんな夢を見た。
それは真夏の暑い夜だった。
自分の耳に聞こえてくる、ザッザッという集団の足音。
それに混じってチャカチャカと金属が触れ合ったり擦れるような音。
その音が止んだと思いきや、今度は集団ではない単体のより大きな足音と金属の音。黒い影。
それが私に近づいてくる。
危険だと直感が告げている。
夢の中のことなのに音までする。
逃げなくてはと思うのに、身体が動かない。
やがてそれは傍に立つと、ずずっと私を僅かだが引きずった。
そして……振り翳した刀に腰を刺された。
刺さった瞬間に布団の裂ける音。
そこで目が覚めた。
扇風機の回る音。
生温い空気。
夢だとほっとし、またふたたび眠りにつこうとする。
だが、何とも生々しく感じられた夢だった。
私を刺し貫こうとした者。
黒い影の正体。
頭に閃いたのは鎧兜の武者だった。
1/24/2024, 9:57:45 AM