雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―たまには―

これは、遠く遠くの未来の話
未来に存在するとある▇の話

▇はある日、
たまには自分の本心をさらけ出してみたい
と思った
▇はいつも眩い程の優しい笑みを
浮かべていて、自分の考えや意見を
そのまま突き通すことなんてごく稀だった
そんな▇の中にストレスや疲労は
雪が降り積るように蓄積していき
溶けることはなかったのだった
そんな中でも、いつも内に込めたまま
発散させることはなく、いつしか
▇にも限界が近づき、
たまには自分の本心をさらけ出してみたい
そう思うようになった
それで、▇はある日、たまには大丈夫だ
と、ほんの出来心で、
“自分の本心をさらけ出した”
▇の本心は最早自分でも気づけないくらいに
汚れていた
▇は自分の中の汚れを全て外に流すため、
とにかく毒を吐き、とにかく暴れ狂い、
思うがままに行動した
すると、
▇の周りは皆慌てだした
頭を抱えるのもいた
▇の口から溢れて止まらない毒に
耳を塞ぐ者や、泣き叫ぶ者、
じっと目をつぶって蹲る者や、
跪き、▇に向かって必死に
手を合わせる者など、人々の反応は様々だった
草木は枯れ果て、人を含む生き物は皆、
みるみるうちに弱くなっていき、
やがて失神するか、
生気を失うかになってしまった
空も表情を無くし、災害などが絶えなくなった
▇がやっと目を覚ましたとき、
それはもう遅すぎた
▇の暴走が止まり、▇が見た世界は、
もう生物という生物全ての呼吸が止まり、
もう何の音もなく、何も動かない

▇は、
自らの手で今まで創り上げてきたこの世界を
自らの手で跡形もなく壊してしまったのだった

とある神の話

3/5/2023, 1:53:52 PM