薄暗い部屋のソファーに座って、ついているテレビをただぼーっと眺めていた。
向こうの方からパソコンのキーボードを打つ音が聞こえてくる。もう少し隣にいてほしいのに、あなたはいつも忙しくて、ソファーに一人ぼっちの私。
でもね、私の体にはまだあなたのぬくもりが残ってる。
ふと左を向くと、広い窓の外には真っ暗な空の下にきらきらと輝く高層マンション、高層ビル、高速道路、ゆりかもめ。
東京は深夜でもきらびやか。まるでまだ寝ちゃだめだよって言われてるみたい。
あれから10年が経って。
ソファーの背もたれにあごを乗せて見る外の景色は。真っ暗な夜空の下に、バルコニーに置いてある植物たちとメダカの鉢。それと水遊びテーブル。目に入るものすべてが寝支度を始めていて、もう寝る時間だよって私に語りかけてくる。
「ママー。」
寝室から私を呼ぶ声。
リビングの明かりを消して寝室に向かう。今夜も小さな寝息を聞きながら私は眠りにつくのです。
7/1/2024, 1:46:11 PM