ゆじび

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「秋色」


空が少し濁った空色になって。
肌寒い風が吹く。
肌から温度を拐って代わりに少しの風を送ってくる。

踏み切りの前。
赤い光が点滅する。
鼓膜を刺激させて危険さを訴える音がする。
黒と黄色の警戒色である棒が降りてくる。
電車が視界の端から端へと進む。

見慣れた街並み。
家だらけ。
道は狭い。けれど鬼ごっこをするには十分。


色んな景色を眺めて知って。
「秋色」に染まる町を。
「冬色」に染まる海を。
「春色」に染まる空を。
「夏色」に染まる山を。
知って。知って。
それはいつも貴女と一緒だった。

今年も秋が近づいてくる。
秋色に染まる町を眺めて。
寒さで秋色に染まる貴女の頬にそっと触れて。
ひんやりとした風になびいた貴女の髪にそっと触れ。


今年も秋が近づいてくる。
止まることのない。
貴女との人生が秋色のような幸せに染まっていくように。
今日も願う。



貴女とずっといられるように。

10/1/2025, 3:39:16 PM