いもパイン

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貝殻
そのへんに落ちていて、目に留まることのない貝殻。
砂浜を歩いていると、稀に踏みつける。
ジャリジャリと音を立てているのは、砂か、貝殻か、捨てられたゴミクズか。答えなんて出せないけれど、いま一度地面を踏みつける。はっと、我に返ると、日差しの熱さに気づく。半袖を着る自分の腕は、仕方がなく焼かれていた。たまに吹く温められた風のせいで、髪は、悔しそうに絡まっていた。そんなこと気にも留めないで、海は、蒼く光っていた。
私は、なんとなく微笑んだ。いつしか、生きていた貝にならって。

9/5/2024, 7:30:14 PM