「もう、終わりにしよう」
たった一人きりの親友が苦しそうに笑いながら言った。その瞬間、私の中の何かがガラガラと音を立てて崩れた。
「…どうしたの、何でいきなりそんなこと言うの」
何でもないことのように口角を上げる。そう、何でもないこと。なのに声が震えた。
「だってやっぱりおかしいよ。こんなことして、何も変わらないよ。寧ろ、悪い方に大きくなってる!だって希は、大きな子供みたいになってるよ!」
目の前にあった鋏を、ひったくるように手に取った。隣にあったティッシュボックスが、刃に当たって音も立てずに床に落ちる。
そのまま希は、親友に向かって鋏を振りかざした。
親友は、胸を真っ赤に染めて、死んだ。
全てを、終わりにしてしまった。残ったのは、絶望の海だけだった。
7/16/2023, 4:21:43 AM