七篠楓

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素足のまま、ただぼうっと空を見上げている。

春先の暖かい夜風が頬を擽り、それが心地よくて、ずっとこのままで居たいと思えた。

アスファルトが刺す足裏の痛みも、鬱陶しいくらいに胸を刺す憂慮さえも気にならない程に、本当に綺麗な夜だった。

それからずっと、朧げに唄う月夜を眺めている。
夜が明けるまで、誰にも邪魔をされる事なく。

ー月夜ー

3/8/2023, 8:55:50 AM