ゲルニト二世

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小学生の時の国語の教科書に載っている物語で、とても記憶に残っているものがあります。

ひとつは「お手紙」です。

これは、私が五歳くらいの時に姉が音読の宿題で読んでいたのを聞いて大好きになった作品です。当時、姉の教科書を拝借して何度も読んでいました。

あらすじを簡単に説明すると、手紙を貰ったことがないと嘆くガマくんに、親友のカエル君が、かたつむりくんに頼んで手紙を配達してもらうという内容です。

幼い頃はとても大好きでしたが、時の流れというのは残酷なものです。

小学二年生になって、授業で久しぶりに読んだ感想は、「なぜかたつむりに頼んだ?」という現実的なものでした。
かたつむりくんに配達を頼んだため、ガマくんのもとに手紙が届くまで四日もかかったのです。(かたつむりにしては頑張った方だよ…。)

そして今日久しぶりに読んでみましたが、送り主であるカエルくんが隣にいる状況で手紙を受け取るという微妙さ、さらに手紙の内容はすでにネタばらしされているというコレジャナイ感が凄かったです。

もうひとつは「赤い実はじけた」です。

こちらの作品、実は「キャンディ・キャンディ」の原作者である名木田恵子さんによって書かれたものなのです。

あらすじは、小学六年生の綾子が、クラスメイトの哲夫が実家の魚屋を手伝っている姿を目にして、綾子の胸の中で何かがはじけるという、所謂、初恋物語というやつです。

恋に落ちた瞬間を「赤い実がはじける」と比喩的に表現するという、女の子には印象深い作品だったと思います。

ただし、私の場合はちょっとしたトラウマとして記憶に残っています。

国語の授業ではよく丸読みをしていたのですが、恐らく誰もがここだけは読みたくない!と思っていたであろう箇所を読む羽目になってしまったのです。

その箇所は――。

"パチン。思わず飛び上がるほどの大きな音を立てて、胸の中で何かがはじけたのだ。"

ご存じの通り、丸読みは、文の句点「。」が来たら読み手が交代する音読法です。

そうです。

"パチン。"

この部分だけ。恋に落ちた瞬間のオノマトペ。

クラスメイトに、私自身の赤い実がはじけたように思われてしまうのではないか?という羞恥心で一杯でした。

普段ならある程度大きな声で音読していた私でも、小さい声になるってなもので、案の定、教師に「ここはもっと大きな声で読みましょう」と注意されてしまいました。

せめて、段落読みだったらそこまで意識せずに読めたのに…!

そして物語は、"綾子は、今夜、千代に手紙を書こうと思った。"という文章で締め括られるのです。

千代は、一歳年上のいとこの女の子です。
私は初恋云々より、同年代とは言え親戚の子と手紙のやり取りをするということに衝撃を受けました。


#手紙の行方

2/18/2025, 3:00:03 PM