ずっとこの日を待っていた。
僕にやさしく触れてくれた君の白い手は、もう朽ち果てている。そうか、君はこのまま土に還るんだ。
その骨は、いずれ夜空に碎け散って無数の星になる。そうして次の世界の夜に生きるんだね。
金糸の髪は、地上に差す太陽の光だ。薔薇色に染まっていた君の頬。柔らかい皮膚の下に流れた血潮は、いつかほんもののの花になる。
君を拒んだ暗い世界も、遠くからみれば光の森にいるみたいなんだろう。醜くて、残酷で、かけがえのない世界だ。
僕の世界は、君とともにもう終わった。
今はただ、君の隣で眠りたい。
きっとこれからも、世界は光に包まれていて、人々は退屈でいとしい日々を生き、まるで僕たちのことなんてなかったかのように、陽が昇っては沈んでゆくんだ。
いつか僕らの朽ちた身体が引き剥がされるとき、それは終わりではなくてはじまりだね。
今度こそ、新しく平等に生まれ変わった世界に生きることを夢見て。
6/7/2023, 11:51:59 PM