どこまでも続くかのように、地平線の先まで伸びる道を歩く。
その道は、緩やかに曲がり、時に平坦、時に転げ落ちそうなほどの急斜面。
空の色はどこまでも澄み渡り、四季の巡りを思わせる柔らかな風、草木の匂い。
目に、耳に、鼻に、肌に焼き付けた時間、想い。
誰もがその先を信じ、時に立ち止まり、時に駆け抜ける。
私たちは、知っている。この世界に有るものの儚さ、尊さを。
たとえばそれは、ずっと大切に持っている想いの詰まった物、身を粉にして掴んだ居場所、何より幸せを願う大切な人、積み上げて築いてきた絆。
どこまでも続く悠久の時の中、瞬きほどの一瞬。
だから私たちは、立ち止まる。
緩やかなカーブの先で、この道が、いつか途切れることを知っているから。
どこまでも青い空が、やがて夜に包まれるように。
どこまでも伸びる影が、いつか短くなるように。
その有限こそが、
今この手にある確かな温もりを、
何よりも尊いものへと変えるのだ。
どこまでも
10/13/2025, 9:42:11 AM