自分は、泣かない人間だと思っていた。泣かない人間に、させられていた。
オレが泣くと、うるさいから。だから、泣くなって言われて育った。
どんなに痛くても怖くても、ひどいことをされても、オレは泣かなかった。
心配して「泣いていいんだよ」と言ってくれる親切な人もいたが、「泣かないよ」と笑顔を張り付けて、必死に平気なふりをしていた。
そんな幼少期を過ごして一人立ちしたオレは今、ただ一人の大切な人に抱き締められながら、その優しさに、愛しさに、ぼろぼろと泣いている。
【泣かないよ】
3/17/2024, 11:15:24 AM