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十一月になると、つい数日前まで囃し立てられていたカボチャやお化けはすっかり消えてしまう。代わりにモミの木とキラキラしたリボンが街中を支配していた。
「きれいだねえ」
五歳になる息子は街路樹に巻きつけられたライトをみてそう言った。私は買い物袋が重くてそれどころではなかったのだけれど、
「うん」
とだけ返しておいた。
「ママ、僕のところにもサンタさん来るのかなあ」
「そうね、ちゃんとお手紙を書かなきゃね」
ふと思いついて言ったことだったが、息子はサンタへの手紙にやる気まんまんという感じだった。家に着くとさっそくおばあちゃんにもらった便せんを持ってきてなにやら書き出していた。
私は晩ごはんの準備に気を取られて、何を書いたのかよく見なかったが、いっちょ前に封筒まで用意した息子は私のところまできてすこし悲しそうな顔で
「ここになんて書けばサンタさんのところまで届くのかなあ、どうすればいいの?ママ」
と言ってきたのがどうしようもなくかわいらしかったので、思わずぎゅっと抱きしめた。
「ママがサンタさんに届けてあげるね。お友だちなんだ」

11/22/2024, 4:10:02 AM