世界の終わりに君と
世界の終わりに君と私、二人が生き残る。
手元にはパンが一つある。一つ食べれば、一人が一日ほど生きのびられる。
君は私よりずっと子供で、腹を空かせている。でも自分で思っているほど悪い子ではないから、駄々をこねたりはしない。
私は「半分こしよう」とパンを割る。君はすぐに食べてしまう。
もう半分を差し出すと、君は首を振る。私はパンをもう半分に割る。
「今お腹空いてないから、食べなさい」
そう言うと、君はやっとそれを受け取って食べる。眠くてたまらない。
「ちょっと疲れたから横になる。その間にお腹が空いたら、それも食べていいから」
君は応えない。目を閉じていても、君が食べたいのを我慢しているのがわかる。そう、君は必死に我慢している。君は自分が思っているほど、駄目な子じゃない。
翌朝、空腹のあまりパンに手を伸ばした君は、私が冷たくなっていることに気づく。
君がなるべく悲しまないことを、あまり苦しまないことを願っている。
こんな風に人に与える人を
昔 亡くしたことがあります
6/8/2024, 9:24:22 AM