aida

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『すれ違い』

 誰もいない教室、私と君だけが夏でもない秋でもない日光で照らされている。ただひたすらに他愛もない話をした。なぜだか知らないが、金木犀の香りがした。おかしいな。まだ九月が始まったばかりなのに。ふと口にした私の言葉に君は相づちを打って、それから金木犀の話をした。どうやら金木犀は夜の方が香りが強くなるんだと。正直植物の話にはあまり興味が持てないもので、君の金木犀の話もそこそこに、私は違う話題を考えた。特に理由もなく、ただなんとなく君のほうを見た。しかし、私の目に入ってきたのは君ではなく君の先に続いている廊下だった。なんだかその廊下が、私たちの今いるこの廊下が、とても気色悪い気がした。なぜだか違和感を感じた。何だろうか、と少しの間考えた後に、私はある疑問にたどり着いた。

 なぜ私と君は廊下にいる?

 私たちはさっきまで廊下なんかにはいなかった。教室、そう教室だ。誰もいなかった。私と君以外。君が金木犀の話をして、話題を考えて、気がついたら廊下にいたんだ。教室から、急に、あれ。そもそも私たちは教室に来る前何処にいたんだろうか。玄関から入ってきた記憶はなかった。おかしい。何も辻褄が合わない。いつから学校にいたのだろう。どのくらい滞在している。先生たちはいないのか。気持ち悪い汗が首に垂れた。そもそも今は何日だ。何時だ。いや、そんなことよりも、




 私のとなりにいるこの人は誰だ。





すれ違い要素無いんだが笑

10/19/2023, 2:50:56 PM