初日の出。
年始最初の日の出である。ただの太陽。
なのに、わざわざ休みの日に、早起きして!
拝みに行こうとする人間が一定数いる。
せっかくの休みに俺は早起きなんぞしたくない。
そもそも前日の大みそかは夜ふかししても良い日なのだから次の日にはゆっくり昼まで休むべきではないか?
初詣や初日の出を見に行くよりかは、寝正月を満喫して、正月明けの学校や仕事に備えるべきでは?
そんなことをだらだら文句を言っていれば、母から
「お年玉が欲しかったらついてきなさい。寝坊したらおいてくわよ」
と人質(金)を盾にされた。
仕方がないので半分寝ぼけながら家族で神社へと向かった。近所の神社は山の上にあるので、そこから日の出も見える。初詣のついでに初日の出を眺めることができる場所だ。
寒い中震えながら待っているとようやく日が差してきた。神社の砂利や石畳がキラキラ輝いている。
眺めていると、砂利の上に何か透き通る物が光っていた。拾ってみるとそれは蛇の抜け殻だった。それも多分白蛇。日にかざしてみると、抜け殻の鱗の形が光に透けてよくわかった。
丁寧にそれをしまい、初詣を終えて帰宅した。
おみくじも引いた。
中吉
金運:神の加護あり
早起きは三文の徳とはこのことだろうか?懸賞でも当たるのだろうか
家では無事今年もお年玉を貰って一安心したので、試しに何か運試しをしてみようかと蛇の抜け殻を部屋のテーブルに飾って考えていた。
「それどうしたの?」
昨日から家に泊まっていた叔父に尋ねられた。神社で拾ったことを話すと、白蛇は縁起がいい。今年の干支でもあるから尚更だ!譲ってほしいと言い出した。
神の加護ありかもの金運アイテムをそう簡単には渡したくない。追加のお年玉を検討してくれるならと交渉した。
+5000円くらいもらえないかなと思ったところなんと叔父は諭吉2人、渋沢3人をくれた。三文の徳!!と思って喜んで金運アイテムを渡した。いい取引をした!
2ヶ月後、叔父が宝くじを当てた話を聞き、俺は神社に蛇の抜け殻を探しに行った。
1/3/2025, 2:56:37 PM