雨蛾禰

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 ふとした瞬間に貴女を愛しく思う。



 本来であれば、絶対に抱いてしまうわけにはいかない想いでも、優しい貴女は『仕方がないな』と笑って許して抱き締めてくれた。
 罪の意識が軽くなる。
 愛しさは募るばかり。


 気付けば、許されぬところまで来ていて。


 このままでは駄目だと理性が叫ぶ。
 気を抜けば溺れそうになる意識を繋ぎ止め、貴女の目が離れた隙に逃げ出した。
 誰も幸せにならない日々を終わらせるべきだった。



 なのに





 どうして










 「どうして逃げる?」




 「何故今更、私から離れようとする?」




 「溺れたお前を赦してやったのに?」




 「ああ、ああ、嗚呼! こんなにもお前は私を愛しているのに!?」




 「良いのだよ。良いのだよ」










 「『永遠』に、私と共にあろう?」










 嗚呼、この愛 ──── 《原罪》からは逃れられない。





【題:逃れられない】

5/23/2024, 2:26:21 PM