彼女と僕の『平穏な日常』、なんてものは。
取るに足らない、本当にちっぽけなことで、波立ってしまうものなのだ。
「あ、おでこの、ここンとこ。このヘンになんか、できてるよね?」
「っっ! ……っ、もうっ、なんで……」
「ん? どした?」
「……フキデモノ。朝からさ、できちゃったなぁって、気にしてたの! なのに、そんなふうに……っ、あ〜〜〜、もうっ!」
「え、え、なんで、」
「気づかれたくない人には、気づかれたくないの! そのくらい、わかって欲しかった」
と、苛立った声の彼女が言い……。
そう。どうやら僕は、そのちっぽけなフキデモノには、見て見ぬフリをしなければならなかったらしく。
「えーと。いや……疲れてるのかな、って」
「………………」
パンとかベーコンエッグとか、いつもの朝食が並んだ食卓越しの彼女は、無言のまま。
ちょっと涙目になってて、むくれ顔で……あーあ。
僕たちの平穏を奪った、フキデモノの野郎……と。
僕は僕の失言を棚上げにして、この瞬間、この世の誰よりも、彼女のおでこに突如出現したフキデモノを恨む。
こうなってしまった彼女への完璧な対処法を、僕は未だに見つけられてないのに──。
「今日さ。夜はなにか、外に食べに行こうか?」
「……こんなのができちゃってるのに、外に行くのヤダ」
……はい、失敗。
こんなときどうしたらいいのか、AIにでも訊いてみようか?
3/12/2026, 9:52:13 AM